＜左が完成品で、たっぷりの野菜の下には右のように鰹が隠れています＞

鰹といえば昔は初夏の魚でしたが、船や冷蔵技術の新歩した今日では、ほぼ一年中手に入るようになり、ここ遠州地方の人々には春を告げる魚となりました。鰹は鯖科の魚で海中に入るときには美しい紺青色ですが、死んでしまうと普通私たちが目にするあのような色に変わっていきます。季節によって鮮やかな赤みのあっさりしたものや、脂がのって鮪に近いこってりしたものまで肉質が変化します。

この鰹をいかに美味しく食べるかは、まず魚の鮮度、次に鰹を引立てるつま（貴田乃瀬では野菜と呼んでいます）、そして醤油（うちの店の醤油はこの鰹の野菜盛りに合わせて作られ、平成８年度の静岡県品評会で金賞をいただきました）です。この三つが大事だと思っています。

見た目にはあまりきれいな盛り付けとは言えませんが、この豪快さが私の店の売り物のひとつです。つまの中には、細葱、大葉、紅蓼、玉葱、生姜、茗荷、人参、独活などがおおきをさを揃えて刻まれて入っています。鰹が嫌いだとおしゃるお客さまにも、まるで野菜サラダをたべているようでとても美味しいと評判です。

今回は、郷乃誉の生元純米吟醸を合わせてみました。