この時期になると魚屋の店先には「ぬた」の材料になるいろいろな貝が並んできます。当然、八百屋の店先には、分葱が並びはじめ「ぬた」を作れ！と言わんばかりですが、ここでひとつ問題になることがあるのです。それは、作り手の私が「酢の物」があまり好きではないということです。決して嫌いではないのですが、いろいろと制約のある酢の物が好きなので、自分の店でもお客さまには大変申し訳ないのですが、私の食べられる「酢の物」を召し上がって頂いております。

では、私の食べられる、制約の多い「酢の物」を紹介します。材料としては、烏賊（イカ）、それ以外は統べて貝類しか認めませんし、野菜も分葱や春野菜がほんの少し入っていて、白和えにしてあるものか、黄身酢和えにしてあるものしか認められません。出来れば、貝は、赤貝、ミル貝、鳥貝、したきり、小ばしら、などは外せませんから、それ以外の貝を入れたりするとけっこう金額の高いものになってしまいます。