今年、幾度となく本州を縦断していった台風のおかげで、野菜の値段が半端な値段ではなくなっているのだ。レタスなど、一時は１ヶで８００円なんていう値段をつけたのだ。レタスが８００円ならキュウリは一箱で６０００円だと。一本１５０円ぐらいか？？。他の野菜も同じように値段が普段の数倍もするような状態だ。

料理屋をしていると感じることのひとつに「野菜は高くならない」・・って思っているお客様が意外と多いってこと。高くならないって言うよりも「野菜は安い」って思っているのだ。今年も夏に台風が来た時（ただでさえ夏場は野菜が高くなるのだ）このときもかなり値が張ってきて、貴田乃瀬名物の鰹の野菜盛りを作ると、本来主役の鰹よりも野菜の方の値段が高いって言う時があった。「美味しいねぇ、親方のところの野菜盛りは実にいい、親方ぁ、野菜おかわり頂戴・・・」って言われても素直にお皿に野菜を盛り付けて上げられないような時があったのだ。だって、鰹よりも高い野菜って男性のお客様にはなかなか分かってもらえないのだ。

肉や、魚が高いって言うのは、どんなお客様もちゃんと理解してもらえる。人によっては高い魚のほうが美味しいなんて思っているくらいだから「今日のこの魚は高かったんですよぉ・・・」なんて言っても「ほほぅ、そりゃぁいいっ、そんなに値の張る魚ならさぞかしうまいんだろうねぇ」なんて言ってくれるお客様もいるくらいだ。しかし、これが「今日のこのレタスは高かったんですよぉ」なんて言っても「ほほっ、そりゃあいいっ、そんなに値の張るレタスならさぞかしうまいんだろうねぇ」・・・・・・・なんてことは誰も言わないのだ。

お飾りでもないが、お皿についてくるレモンやオレンジ、大葉やラディッシュ。なんてことはないものだろうが、これがすべてのお皿についていくとなると結構なお値段になるのだ。野菜が高いからやめておくなんて言う事はできないし・・。今年は台風にやられっぱなしだ。