旬肴地酒 貴田乃瀬
旬肴地酒 貴田乃瀬
静岡県浜松市田町 231-1
TEL: 053-455-2832
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料理とお酒の相性を知っていて食べたり飲んだりする方が、なおさら美味しく味わえます。
ソムリエがワインを薦めるように、料理に合わせた日本酒を提案する時代が来ました。

98-11-01 旬の料理 Index / 蒸物

蒸物:鯛のかぶら蒸し

意外と知られてはいませんが、鯛が本当に美味しくなってくるのはこれからの時期なんです。鯛、特に真鯛は、味、姿、色と三拍子そろった魚の王様と呼ばれて珍重されてきました。また「めでたい」の語呂合わせも含めて、祝儀の席に欠かせない魚になっています。日本人は赤い色をした魚をすべて「○○鯛」とか「△△鯛」とか名前を付けていますが、正確には「鯛科」の魚は、真鯛、血鯛、黄鯛、鰭小鯛(ひれこだい)、黒鯛、へだい、きちぬの7種類だけなのです。この中でやはり真鯛は日本料理には欠かせない、魚の一つになっています。鯛類の中でも最も商品価値が高く、単に鯛と言うと真鯛を指すことが多いほどです。重要な魚であるためか地方名は少ないのですが、取れる季節、状態の違いなどによる異名は多いようです。例えば、桜の咲く時期に瀬戸内海で獲れる鯛は、産卵前で身が充実して、色も美しく、桜鯛の名で珍重されています。逆に、麦の色づく6月頃は産卵直後で身が細り、味も落ちるため、麦わら鯛、落ち鯛と呼んで敬遠されています。

真鯛は、癖がなく身のしまりも良いため、刺し身、椀だね、焼き物、煮物、蒸し物、鍋物、酢の物と、料理の用途の極めて広い上等の白身魚で、身だけでなく、頭、中骨、卵巣(真子)、精巣(白子)と余すところなく利用できます。祝儀の席などに用いる姿の活け作りや塩焼き、頭やあらを使うかぶと焼き、かぶと蒸し、潮汁、あら煮、ちり鍋などは最もよく知られる料理です。

今回は、この真鯛の頭を使って「鯛のかぶら蒸し 貴田乃瀬風」を作ってみました。貴田乃瀬風と言っても特別な事をしているわけではありません。

まず、鯛の頭を二つに割っておき(一人前は、頭半分になります)よく血を洗い落として鍋に入れておきます。出し汁と酒を半々ぐらいの割合で入れ、鯛の頭が隠れるほどにしておきます。この中に、縦割りにして6等分ぐらいにしたカブと椎茸を入れ、蒸し器の中に入れ、強火で一気に火を通していきます。時間にして8分〜10分ぐらいの時間が必要です。蒸し上がった頭の入った鍋を火にかけて、塩、醤油、ほんの少しのコショウを振って味を調えます。味がつき最後の仕上げのときに、摩り下ろしたカブを入れて、もう一度味を見てからお客様にお出ししていきます。三つ葉、インゲン、菊の花でかざりをつけて出来上がりです。

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