貴田乃瀬の外装改装工事もほぼ終了となった。従来の白い塗り壁は、色をそのままにして、塗り壁からボードを打ちつけその上から白く塗り上げるものに変わった。壁全体の痛みが激しく、雨漏りなどを完全に防ぐ事を考えると、塗り壁よりも防水加工のしやすいボードを張ったほうがいいということになった。白い壁を区切る柱の色が、今までの濃い茶色から黒に変わった。これによってお店の外観の印象がかなり変わった。黒はやはりしまって見える。

今回、内装についても、従来のグレーから全体に黒っぽい感じに仕上げたので、店の外側も黒できりりとした感じを出していこうという事になったのだが、想像以上にいい感じに仕上がっている。店の間取りを変えることなく、出来るだけイメージを新しいものにしたい。あまり気にしていないように見えて、一番気にしていたことだ。ただクロスや壁紙を変えただけでは面白くない、そうかといって間取りにまで手を出すような大改装もしたくない。やはり今までの貴田乃瀬のイメージはそのままに、しかし、今までとは明らかに違った感じを出していきたいと思っていたのだが、それは成功したと思う。

ここ何年か考えていた事だけど、新しい料理を出すとして新しい器を買っても、それが店のイメージからかけ離れたような器では仕方がない、かと言って今までの延長の器を使っていたのでは新しい料理の鮮度も半減してしまう。で、思い切って店の改装となったのだ。器のために店を改装したのかと言うと、それも改装を思い立った原因のひとつ・・だと思ってもらえるくらいでいい。新しくなったお店で塗りなおしたきれいなカウンター・で、新しい器と料理。悪くはない考えだと思うんだけど。

この改装で、さらにこの場所で貴田乃瀬を続ける決心をしたのだから、これから先の何年か、もしくは十年単位の年数を支えていけるような料理を作らないといけない。きれいになった貴田乃瀬でさらに頑張るのだ。