改装の(お店に対する)お祝いは出来るだけ遠慮していたのだが、何もかもすべてをお断りするわけにも行かず、お店の中はきれいな花がたくさんおかれている。花があるとないとではこれほど店の雰囲気が変わるのかと思うくらい店内が柔らかい感じになる。花の色というのはそれ以外の無機質な皿とか棚とかつまり店内の色のどれにも属さない不思議な色ばかりだ。なんとも表現のしようの無いような色だ。

花の色ばかりではなく、料理に使っている野菜などの色も作ろうと思ってもつくれない、表現の難しい色だと思う。今日、葉わさびをもらったのだけどその葉の色が濃い緑でもなく、かといって薄くも無い、なんて言うのだろう｢わさび｣の色なんだなぁ・・。わさび色って言う色があるらしいけど、その色の前にこの葉をおいても同じ｢わさび｣の色って言うわけにはいかないんだよなぁ・。自然のつくる色や形って人間の力の及ばない所にあるものなんだなぁ。

料理をお皿に盛り付けるときに幾何学的な出来るだけ無機質な感じを出して盛り付けをするのが格好いいと思っていたときがあったけど、このごろは全くそう思わなくなってきた。海のものなら海を、山のものなら山を感じられるような盛り付けが出来たらどれだけすばらしいのだろうと思う。あまりごてごてせずに、シンプルイズベスト・・ってやつで。

そのためにはその盛り付けを手助けしてくれるだけの力のある器を手に入れなければいけないって言うのも、このごろわかってきた事だ。人間歳をとって枯れ始めるといろいろな事がほおっておいても分かってくるって言うのがすばらしいけれど、この年にならなければわからないって言うのがつらい・・。もっと早く分かっていればって言う事ばかりだ。まぁ、若い時から分かっている人もいるんだろうけど・・・。人よりもずっと進歩の遅い私にはこれくらいのスピードがいいのかも。