旬肴地酒 貴田乃瀬
旬肴地酒 貴田乃瀬
静岡県浜松市田町 231-1
TEL: 053-455-2832
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料理とお酒の相性を知っていて食べたり飲んだりする方が、なおさら美味しく味わえます。
ソムリエがワインを薦めるように、料理に合わせた日本酒を提案する時代が来ました。

03-06-19 鮨ネタ Index

鮨ネタ:ありがとうございました。3

続きであります。

お手前・自前・男前・・・などと言う言葉と同じように「江戸前」の前は、取れた手の魚を意味するのでなく、その魚に施した調理や握りの仕事のスタイル、内容を言うのではないでしょうか・・・自分勝手に思っていますけど。この仕事のスタイルを、戦後、誰かが誤って解釈して、新鮮な魚をすし飯の上にのせる事ばかりを「江戸前」と称したために、輸送機関や保冷施設の発達も手伝って、あっと言う間に北は北海道から南は九州まで「江戸前」が闊歩するようになってしまったのではないかと思います。「江戸前」のおひざもとの東京でも、今ではその風潮が幅をきかせているのではないでしょうかね。

私自身、特別江戸前にこだわっているわけではないのです(自分が好きなタイプのお鮨は何だと聞かれれば、間違いなく江戸前の握りだと答えると思います・・江戸前=仕事のしてあるお鮨というのが私の個人的な解釈ですから)。上にも書きましたが、江戸前のお鮨とは新鮮な魚で勝負する事ではなく、あくまでも職人の技術やスタイルをさす言葉だと思っています。

料理屋の私がえらそうに言う事ではないですが、新鮮な魚だから美味しいという「神話」を頭から信じてお題目にしている人たちが多すぎるんではないでしょうか。食材としての魚や、野菜・・ちゃんとしたものを扱うのは当たり前のことで、いまさら人前で講釈言ってみるほどのものでもありません。ましてや、その食材をいかに料理したかなんて言うのを自慢げに披露するのも恥ずかしいだけです。そう思いませんか?確かに食材の目利きも板前の1つの技量だと思いますが、食材自体の持っている「力」に頼りきってしまっている職人が多いのもまた事実だと思います。いい食材を手に入れるのは当たり前、黙って食べてもらってどれだけ美味しいかが大切な事だと思うのです。

その食材の味やうまさをいかに引き出すか・・異論もあるでしょうが、決め手は仕事・仕事の量だと考えています。いかにその食材に対して深くかかわっていくか・・それが仕事になると思います。単純に昆布で〆る・・作業をしては単純ですが、どんな昆布を使うか、どれくらいの時間を〆るのか、それはお客様がお見えになるどれくらい前の時間に行なうのか・・・・。
昆布〆1つでもこれくらいの作業(仕事)が出来ます。淡淡とネタケースの中に並んでいるかのように見える鮨ネタたち。
しかし、お客様の目に触れるまでのあいだ、お店に暖簾のかかるまでのあいだに職人さんや親方たちがどれくらいの仕事をしているのか、少し考えながら食べてみるとお鮨ももっと美味しく味わえるのではないでしょうか。

本来ならば、自分のお店で使う食材を紹介していくべきでしょうが、鮨好きが講じて鮨ネタの魚たちのシリーズになってしまいました。まだまだ紹介しなければならない魚たちもたくさんいるのでしょうが、とりあえずこの辺でこのシリーズは終わりにしたいと思います。鯛から始まって貝の青柳まで57話も続きました。よく続きましたねぇ。

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