料理とお酒の相性を知っていて食べたり飲んだりする方が、なおさら美味しく味わえます。
ソムリエがワインを薦めるように、料理に合わせた日本酒を提案する時代が来ました。 |
筋子を焼いて食べるという料理はあまり見たことがないかも知れませんが、親、つまり鮭の切り身の上に置いて焼き、玉子の黄身に雲丹などを加えよく練り、それを鮭と筋子の上に塗って食べる料理は「あげぼの焼き」という名の料理として北海道などにはあります。しかし、ただその料理を真似してみてもつまらないので、私なりのアレンジを加えてみました。
油で揚げた茄子を少し濃いめの味をつけただし汁で軽く含ませておいて、その上に醤油漬けした筋子をのせて軽く焼き上げます。お客様に出す前に、胡麻、胡桃、ピーナッツなどを練り上げてソース状にしたタレをかけて出来上がりです。漬け込んで焼いただけでは辛くなってしまうので少し甘めのタレが必要なのです。口の中で焼いた筋子と胡麻だれが何ともいえない風味を作りだし、なかなかの一品だと自負しています。
味のしっかりしている料理ですから酒の方もこれに負けないような個性を持ったものが必要になってきます。奥播磨の純米吟醸酒「袋しぼり仕込み第三十五号」のコクのあるどっしりした味わいが、この料理の風味を一層引き立ててくれるような気がします。