旬肴地酒 貴田乃瀬
旬肴地酒 貴田乃瀬
静岡県浜松市田町 231-1
TEL: 053-455-2832
Welcome to Kitanose
料理とお酒の相性を知っていて食べたり飲んだりする方が、なおさら美味しく味わえます。
ソムリエがワインを薦めるように、料理に合わせた日本酒を提案する時代が来ました。

03-10-28 調味料 Index

調味料:ミリン 8 (煮切り)

日本料理のミリン使いのテクニックのうち、もっとも基本的かつ、重要なものが、この「煮切り」ではないかと思います。つまり火を入れてアルコール分を燃やしてしまうと言うことです。アルコール分には素材の臭みを消してくれるという役割もありますが、調味料としてミリンを使う場合は、その効能が必ずしも必要でない場合もあります。しかも、かえって邪魔になる時さえ少なくありません。私の所では、その時、その時「煮切りミリン」を作るのでは急いでいるときなど間に合わない時もありますから、あらかじめ「煮切りミリン」を作って保存しておきます。普段料理に使うのはこちらの「煮切りミリン」の方です。

普段何気なく使っている基本調味料の中でも、とくに多種多様の顔を持つ調味料がこのミリンではないでしょうか。発酵調味料であるミリンは、甘味を中心とした複雑な味の要素や、調理上のさまざまな効能をもっています。どのような要素を重視するかは、そのときの調理内容で変わってくるものですから、微妙な扱い方1つで、料理にグンと個性を与えることもできるわけです。当たり前に使われがちなこの調味料、うまく使いこなすにはどう知ればよいのでしょうか?

新鮮な食材を使った、素材を重視したシンプルな料理の場合、一見あっさりとした味付けが物足りないくらいに思われてしまいます。別段、ミリンを強調した料理、味付けする必要もありませんが、このようなシンプルな味付けを求める素材こそ、ミリンが生きてくるのだと思います。使いすぎたら味だけではなく、素材の持っている弾力やふくらみまで殺してしまう事になります。ミリンは甘味料の役目も果たしているために、使いすぎるとどうしてもくどくなってしまいます。

素材の欠点を消して、魅力を引き立ててくれるためにミリンを使うとしたら、どんな風に使っていけばいいのでしょうか。「ミリンを感じさせないミリン使い」私個人的には、これに全てが集約されているような気がします。

万能薬的な調味料だからといって、全ての料理に、全ての食材に使っていけばその蓄積がくどさとして残ってしまいます。素材の味を持っている力を充分に引き出すための手助けをしてくれるもの、調味料全般がそうですが、とくにこのミリンは、使い手のものの考えから、もちろん料理に対することですが、それ1つで毒にも薬にもなる調味料だと思います。

Copyright 1996-2004 Kitanose, All rights reserved.